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2018年の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場推移

2020/06/16、矢野経済研究所による「柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施(2020年)」調査結果がプレスリリースされました。そのため、調査結果のご紹介とその考察をしたいと思います。

2018年の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は前年比1.8%減の9,440億円と推計
~保険治療(療養費)の減少が市場を押し下げ、市場は縮小の見通し~

矢野経済研究所は、国内の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場を調査し、市場規模・動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

図1:矢野経済研究所「柔道整復・鍼灸・マッサージ市場推移」
図2:矢野経済研究所「柔道整復市場推移」

 

1.市場概況

接骨院や鍼灸院、マッサージ院等で行われる施術は、いずれも国家資格者である施術者が行う医療類似行為(サービス)として位置づけられており、整形外科での医療行為や整体・カイロプラクテイックなど民間資格を持つ施術者による療法とは異なる。
国内の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は、柔道整復市場における保険治療(療養費)の減少により、2015年以降縮小傾向にあり、2018年の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場(事業者売上高ベース)は前年比98.2%の9,440億円と推計した。

2.注目トピック

治療院の課題(患者数減少)
接骨院・鍼灸院・マッサージ院など治療院の商圏は、院長の知名度が特別に高い治療院以外は都心部で半径500m、郊外でも半径2~3km程度であり、そこに居住しているもしくは勤務・通学している人間が対象者となる。
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、それらの治療院や国家資格者の数はいずれも増加傾向にあり、同じ商圏内の治療院数の増加により、一治療院当りの来院患者が減少している。
さらには、リラクゼーションサロン・カイロプラクティック・整体などの民間資格サロンや、整形外科との競合などの周辺業種との競争激化が患者数の減少に拍車をかけている状態である。すべての治療院が、今後、患者から選ばれる治療院となるべく、他院や周辺業種との差別化を図っていく必要がある。

3.将来展望

国内の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は、治療院数、国家資格者数の増加による競合に加え、民間資格サロンや整形外科など周辺業種との競争が激しくなり、これまでと同じやり方、同じサービスの継続では立ち行かなくなる治療院が増える可能性もある。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い生じた非連続的な事象を背景に、生活者に新たな価値観が生じ、ポストコロナにおいては、従前と異なる生活行動が定着化して、そしてこの変化は企業活動にも大きな影響を与えつつあり、接骨院や鍼灸院、マッサージ院の運営事業者も対応を迫られている。

考察

柔道整復・鍼灸・マッサージ市場からの視点だと、同業者に加え、他業界も巻き込んでの過当競争となっています。
施術所数や国家資格者推移と療養費の推移は、以下の厚生労働省の数値も参考にしてください。

就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所 

以下の厚労省による療養費の推移をみると、柔道整復は減少しているが、はりきゅう・マッサージでは増加しています。

柔道整復、はり・きゆう、マッサージ、治療用装具に係る療養費の推移(推計)

次に、矢野経済研究所の図1と図2は国家資格である施術者が提供する医療類似行為(サービス)を対象として、事業者売上高ベースで算出しています。

  • 図1は柔道整復・鍼灸・マッサージ
  • 図2は柔道整復のみ

柔道整復において、療養費の減少がありますが、図1と図2の推移は売上高ベースとなっています。そして、2014年と2018年を比べると、全体が前年比96.4%に対して、柔道整復が前年比86.2%と特に売上高が減少しています。しかし、鍼灸・マッサージは増加しているのが分かります。
これは、柔道整復が療養費以外の売上高を伸ばせていない事や、鍼灸・マッサージは療養費による訪問事業や美容鍼などの自費診療の増加などが考えられそうです。

このように、矢野経済研究所は、過当競争に対する差別化戦略の必要性と、コロナウイルスへの対応が必要だと示唆しています。
長い間、ビジネスモデルの変化のなかった業界ですが、現在は外部環境の変化から大きな転換期かもしれません。
顧客の価値観に変化があり、新規市場を創出するビジネスモデルや、既存市場を再定義するようなビジネスモデルを創出するチャンスもありそうです。

 


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