2024/9/20 追記:最新の情報にリニューアルしています。
東京での開業(創業)を目指す個人や中小企業者の方は多いと思います。
そして、開業に向けて色々調べたり、実行していく中で、新たな挑戦への不確実性に不安になることも多いのではないでしょうか。
しかし、適切なサポートと情報を得ることで、成功への道筋はずっと明確になります。特に、東京都が提供する「創業助成金(創業助成事業)」は、資金面での大きな支援を受けられる絶好の機会です。
開業に必要な資金をサポートする補助金制度が年2回、公募されています。対象経費は器具備品購入費や従業員人件費と幅広く、開業して5年未満の方も応募可能です。
ただし、書類審査と面接試験をクリアする必要があります。 そこで、本記事では、「創業助成金(創業助成事業)」の詳細から、応募資格、申請プロセス、そして事業計画の立案まで、東京都で事業を立ち上げるために必要な全てを解説します。
さらに、よくある質問にも答え、開業の旅をスムーズに進めるための実践的なアドバイスを提供します。 この情報を武器に、あなたのヘルスケア事業が成功するための第一歩を踏み出しましょう。
目次
創業助成金(創業助成事業)とは?
創業助成金(創業助成事業)の背景・目的と概要、募集要項とスケジュールを紹介していきます。
事業の背景と目的
東京都内の開業率は約4.4%と、米国や英国に比べて低い水準にあります。
この状況を改善し、東京都内の開業率を向上させ、産業活力を高めることを目的として、創業助成事業が立ち上げられました。 この助成事業は、創業希望者や創業5年以内の事業者が直面する初期段階の資金調達の課題を軽減し、事業の成功確率を向上させるための支援を提供します。
助成事業の概要
本助成事業は、賃借料、広告費、従業員人件費など、開業初期に必要な経費の一部を支援することで、創業者の事業実施を効果的にサポートしています。
助成限度額は、上限400万円、下限100万円で、助成対象となる経費の2/3以内が助成金額として算出されます。
助成対象者 |
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助成対象期間 |
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助成対象経費 |
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助成限度額 |
委託費を助成対象とする助成金の助成限度額:上限100万円 ※事業費を助成対象経費として申請する必要があります。 |
助成率 |
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応募資格と申請要件
応募資格の詳細と申請要件について説明していきます。
応募資格
本助成事業は、東京都内で創業予定の個人や、事業を開始してから(税務署へ開業の届出を行ってから)5年未満の個人事業主、法人代表者を対象としています。
そして、中小企業者等(図1)に該当する必要があり、サービス業であれば、個人では全業種、法人は資本金5千万以下か従業員数100人以下のどちらかに該当すれば対象となります。
申請を行うことができない方
- 個人事業主・法人の登記上の代表者として、通算5年以上の経営経験 がある方
- 個人開業医の方(医師または歯科医師等が、病院や診療所等で患者に対して医業を行う事業として、申請を行うことはできません) ※医療法人、社会福祉法人等も申請不可
- みなし大企業に該当する方
申請要件
応募者は、指定された創業支援事業(表2)を利用していることが申請要件となります。
これには、事業計画の策定支援を受けた方や、東京都内の創業支援施設に入居している方などが含まれます。
申請にあたっては、創業支援事業の利用実績を証明できる書類の準備が必要です。これには、事業計画書策定支援の修了証明や、特定の創業支援施設への入居証明などが含まれます。
創業支援事業のうち、いずれか一つをあらかじめ利用している必要があり、 申請日までに申請要件を満たさない場合は、申請できません(図2)。
(参考)創業支援事業について
① 事業計画作成 | 公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下「公社」という。)が実施する、TOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた方(要件を満たすために、概ね3か月程度の時間が必要となります。)
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② 事業計画作成 | 公社(多摩支社)が実施する、「多摩ものづくり創業プログラム」を受講後、同支社実施の「プランコンサルティング」による事業計画書策定支援を終了し、過去3か年の期間内にその証明を受けた方 ※現在募集を行っておりません。 |
③ 事業評価 |
公社が実施する、「事業可能性評価事業」において、当年度、またはその前年度以前の過去3か年度の期間内に「事業の可能性あり」と評価され、継続的支援を受けている方 |
④ 事業計画作成 |
公社が実施する、「進め! 若手商人育成事業」における「商店街開業プログラム(商店街起業促進サポート)」を当年度、または前年度以前の過去3か年度の期間内に、受講修了した方 |
⑤ 施設入居 |
東京都・公社が設置した創業支援施設に入居している方、または以前に入居していた方。 なお、該当施設は下記のとおりです。 ◇ 東京都が設置した施設
◇ 公社が設置した施設
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⑥ 施設入居 |
東京都インキュベーション施設運営計画認定事業の認定を受けた認定インキュベーション施設に、認定後(新設施設は運営開始後)6か月以上継続して入居し、申請する事業内容に関する個別具体的支援を、インキュベーションマネージャーから入居期間中に継続して受けている方、または以前に受けていた方 |
⑦ 施設入居 |
独立行政法人中小企業基盤整備機構、都内区市町村、地方銀行、信用金庫、信用組合、国公立大学、私立大学が設置(左記以外の主体との共同設置の場合、左記の主体が発行済み株式総数または出資総額の3分の2以上を所有または出資していること。)した都内所在の創業支援施設と、1年間以上の賃貸借契約を締結して入居している方、または過去3か年の期間内に入居していた方。 |
⑧ その他 |
青山スタートアップアクセラレーションセンターにおいてアクセラレーションプログラムを受講している方、または以前に受講していた方 |
⑨ その他 | 創薬・医療系ベンチャー育成支援プログラムの選抜プログラムを受講修了した方 |
⑩ 事業評価 |
東京都が実施する「TOKYO STARTUP GATEWAY」において、前年度以前の過去3か年度の期間内にセミファイナリストまで進んだ方 |
⑪ その他 |
東京都が実施する「東京都女性ベンチャー成長促進事業(APT Women)」において、国内プログラム(アクセラレーションプログラム)を受講している者又は以前に受講していた方 |
⑫ 資金調達 |
東京都が実施する「女性・若者・シニア創業サポート事業」において、取扱金融機関から当該事業に係る融資を受け、その証明を受けた方 |
⑬ 資金調達 |
東京都中小企業制度融資(創業融資)を利用している方 |
⑭ 資金調達 |
都内区市町村が実施する中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用している方 |
⑮ 資金調達 |
東京都が出資するベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている方 |
⑯ 資金調達 | 政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している方 割賦返済ではなく返済期限到来時の一括返済であること、等の特徴があります。 |
⑰ その他 |
産業競争力強化法に規定する認定特定創業支援事業により支援を受け、過去3か年の期間内に都内区市町村長の証明を受けた方 ※産業競争力強化法に規定する認定特定創業支援事業として実施している支援事業の内容は、各区市町村にお問い合わせください。 |
⑱ その他 |
下記の機関より認定特定創業支援事業に準ずる支援を受け、過去3か年の期間内にその証明を受けた方
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⑲その他 | 東京都が実施する「高校生起業家養成プログラム」において、過去3か年度の期間内に「養成講座」を修了した方 |
このセクションでは、事業計画の立案から申請の準備、そして助成対象経費の理解まで、事業者が知っておくべき基本的な情報を提供しました。
次は、助成対象経費(事業費、従業員人件費、委託費)と助成金額の算出方法と上限額の内容について説明します。
助成対象経費と助成金の算出方法
助成対象経費
助成対象経費の「経費区分」には事業費、従業員人件費、委託費があり、「経費明細」は事業費の内訳となる経費で、賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費があります。
委託費の内訳となる経費で、市場調査・分析費があります。
経費区分 | 経費明細 | 概要 |
事業費 | 賃借料 | 助成事業の遂行に必要な都内の不動産(事務所、店舗、駐車場等)の賃借料や共益費、都内の事務所・店舗等で使用する器具備品等のリース・レンタル料。 助成対象期間を通して継続的に賃借する経費に限ります。なお、交付決定日以前に契約し、継続して使用している賃借を含みます。 |
広告費 | 自社で行う販路開拓や顧客獲得を目的とした広報活動のうち、広告掲載、パンフレット等の作成、展示会出展、ホームページ作成、試供品・見本品作成等に関する経費。 制作物については、制作に関するデザイン料、購入を行う際の配送料や投函等に関する配送委託費を含みます。 |
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器具備品購入費 |
都内の事務所・店舗等に設置・利用する、創業初期に必要な机、PC、コピー機、エアコン等、単体で機能を果たす器具備品の購入費 ※エアコンについては、ダクトを通じて相当広範囲に冷暖房を行う機器以外で、簡易な取付で使用できるものに限ります。 |
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産業財産権出願・導入費 | 助成事業の遂行に必要な商品・製品・サービスに関する国内外の特許権、実用新案権、意匠権、商標権の出願、他の事業者からの譲渡、または実施許諾(ライセンス料を含みます)に要する経費 | |
専門家指導費 | 創業初期の事業遂行に必要な知見・対応方法等に関し、外部専門家等に相談して助言・指導を受ける際、手数料として支払われる経費 | |
従業員人件費 | 従業員人件費 |
助成事業者と直接雇用契約を締結した従業員に対する給与(基本給)及び、パート・アルバイト従業員に対する賃金。交付決定日より前に雇用した方も含みます。 ※東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県を勤務地および居住地とする従業員が対象 |
委託費 | 市場調査・分析費 | 市場等の調査・分析を外部専門業者等に対して委託し、委託費として支払われる経費。 |
助成金の算出方法
- 助成金額は、助成対象経費の2/3以内で算出され、上限額は400万円(事業費と従業員人件費の合計)、下限額は100万円です。
- ただし、「従業員人件費のみ」、「委託費のみ」又は「従業員人件費及び委託費のみ」を助成対象経費として申請を行うことはできません。(事業費を助成対象経費として申請する必要があります。)
- 事業費、従業員人件費の助成金申請額の上限は300万円、委託費の助成金申請額の上限は100万円となります。
- 助成金の申請額を計算する際には、助成対象経費の合計からこれらの基準に従って算出します。
(例)750万円の経費がかかる事業を行う場合
助成金の使用についての注意点
- 助成金は、計画書に基づいて申請した経費にのみ使用できます。使用用途が計画と異なる場合、助成金の一部または全部の返還を求められる可能性があります。
- 助成金の使用状況については、助成対象期間終了後に報告が必要です。計画通りに進捗しているか、助成金が適切に使用されているかがチェックされます
事業計画と準備
効果的な事業計画の作成方法と申請準備に必要なポイントと注意事項を説明します。
効果的な事業計画の作成方法
- 市場分析
ターゲット市場を特定し、市場のニーズ(需要)を理解するために、競合分析を行い、差別化ポイントを明確にします。 - ビジネスモデルの策定
事業の収益源を明確にし、どのようにしてビジネスを持続可能にするか計画します。 - 財務計画
収益モデルを定義し、初期投資額、運転資金、予想される収益と費用を含む財務計画を立てます。 - マーケティング戦略
製品やサービスを市場に紹介するための戦略を立案。プロモーション、価格設定、販売チャネルを計画します。
申請準備に必要なポイント
- 書類の整理
申請に必要なすべての書類を準備し、期限内に提出します。 - 事業計画書
助成金申請の中心となる事業計画書を明確に、かつ説得力を持って作成します。 - 資金調達計画
助成金以外の資金源も考慮に入れた包括的な資金調達計画を提示します。
注意事項
- 計画の現実性
資金計画は現実的であり、達成可能な目標を設定します。 - 継続的な支援
助成金の獲得後も、指定された創業支援施設やメンターからの継続的な支援を活用できるようにしましょう。
申請プロセス(申請から実施まで)とスケジュール
創業助成金の申請プロセスは申請受付から審査、交付決定、実施、実績報告まで詳細に設定されています(図4)。
- 申請には電子申請(jGrants)と郵送申請のどちらかで申請可能です。
- 審査プロセスは、書類審査から始まり、面接審査を経て、最終的な助成対象者が決定されます。
- 助成対象期間(交付決定から補助金の対象となる経費を使う期間)は、交付決定日から最長2年間と定められています。
創業助成金の主な申請プロセス
- 事前準備
応募資格を確認し、申請に必要な書類を準備します。 - 申請書の提出
指定された期間内に申請書を郵送し、同時にWEB登録を行います。 - 審査プロセス
書類審査の後、面接審査が行われます。 - 交付決定
審査を通過した申請者には交付決定通知が行われます。 - 事業実施
計画に基づき事業を実施(補助金を使用して事業を実施)します。 - 実績報告
助成対象期間終了後、実施した事業の結果を報告します。 - 助成金交付
指定口座に助成金が振り込まれます。
注意点とアドバイス
- 申請期間内にすべての必要書類を揃えることが重要です。不備があると審査対象外となる場合があります。
- 助成金申請のプロセスは競争が激しいため、事業計画の具体性と実行可能性を明確に示すことが成功の鍵です。
- 助成金の受給後は、定められた使用目的に沿って経費を使用し、計画通りに事業を運営する必要があります。不正確な使用が発覚した場合、返還を求められることもあります。
スケジュール
- 令和6年度 第1回
申請期間:4月9日(火)~4月18日(木)必着 - 令和6年度 第2回
申請期間:9月25日(水)~10月4日(金)※郵送での申請は必着
創業助成金の採択率
創業助成金の採択率は15~20%程度となっているため、比較的難易度の高い補助金であるといえます。
年度 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
---|---|---|---|
平成29年 | 863 | 115 | 13.3% |
平成30年 | 600 | 151 | 25.1% |
平成31年(令和1年) | 808 | 152 | 18.8% |
令和2年 | 1,037 | 156 | 15.0% |
令和3年 | 1,140 | 157 | 13.7% |
令和4年 | 1,210 | 162 | 13.3% |
令和5年 | 1,060 | 157 | 14.8% |
よくある質問
創業助成金(創業助成事業)に関してよくある質問とその回答は以下となります。
-
Q1: 助成金はどのように使えますか?
-
A1: 助成金は、事業計画に記載された助成対象経費(賃借料、広告費、従業員人件費など)に限り使用可能です。用途が限定されており、事業計画と異なる目的での使用は認められません。
-
Q2:助成金を受け取るための条件は何ですか?
-
A2: 東京都内で創業予定の個人や事業を開始してから5年未満の事業者が対象であり、指定された創業支援事業を利用していることが条件です。また、事業計画の実現可能性や資金の適切な使用計画が求められます。
-
Q3: 事業計画書の作成に役立つリソースはありますか?
-
A3: TOKYO創業ステーションなど、東京都が提供する創業支援サービスを利用すると、事業計画書の作成支援を受けけることが可能です。また、ビジネスプランコンテストやセミナーを通じて、専門家からのフィードバックを得ることも有益です。
-
Q4:助成金申請の際、どのような書類が必要ですか?
-
A4: 事業計画書、財務計画、創業支援事業利用証明、申請者の税務関連の証明書類などが一般的に必要です。
-
Q5:助成金の申請に失敗した場合、再申請は可能ですか?
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A5: 再申請の可否は募集要項によって異なりますが、多くの場合、次回の募集期間に再度申請することが可能です。ただし、改善点や審査員のフィードバックを踏まえて申請書類を見直すことが重要です。
-
Q6: 助成金受給後の報告はどのように行うのですか?
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A6: 助成対象期間終了後に、使用した助成金の詳細な報告を提出する必要があります。報告書には、経費の明細とそれに対応する領収証や支払証明が含まれます。
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Q7: 助成金の申請が却下される理由は何ですか?
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A7: 申請書類に不備がある場合、事業計画の実現可能性が低いと判断された場合、または助成対象外の事業を計画している場合などが却下の理由となり得ます。
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Q8: 助成金の交付決定後に計画を変更することは可能ですか?
-
A8: 助成金の交付決定後に事業計画に大きな変更がある場合は、事前に支援機関に相談し、承認を得る必要があります。無断で計画を変更した場合、助成金の返還を求められることがあります。
最後に
東京での開業を成功させるためには、補助金制度の活用が鍵となります。
この記事を通じて、「創業助成金(創業助成事業)」の全体像から具体的な応募プロセス、事業計画の作成方法に至るまで、必要な情報を得ることができたなら幸いです。
年2回の公募期間、対象となる経費の詳細、そして書類審査と面接試験の突破方法についても理解を深めていただけたことでしょう。
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