補助金・助成金 資金調達

令和6年度 東京都「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業(助成金)」とは

東京都では、女性が抱える月経や更年期、妊娠・出産、不妊治療などの健康課題に対応するため、「フェムテック」と呼ばれる分野に注目が集まっています。
「フェムテック」とは、女性特有の健康問題をテクノロジーで解決する製品やサービスのことで、近年、革新的な技術や製品が世界中で開発されています。

令和6年度9月6日から、東京都が中小企業のフェムテック事業を支援する「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」が開始されました。

この助成金制度は、東京都内の中小企業がフェムテック製品の開発・改良・普及を行う際にかかる費用の一部を助成することで、女性の社会進出を支援し、同時に企業の成長も後押しします。

本記事では、この助成事業の内容や対象となる事業、申請方法、助成対象経費などについて詳しく解説します。申請を検討している企業の皆さまがスムーズに申請できるよう、申請要件や審査の視点についても丁寧に説明します。
また、助成事業における注意点やよくある質問にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。この助成制度を活用し、貴社のフェムテック事業がさらに飛躍することを期待しています。

 

「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」とは

 

 

この助成事業は、女性の健康課題を解決する製品やサービスの開発を行う東京都内の中小企業を支援するために設立されました。

フェムテック分野は、月経、不妊、妊娠、出産、更年期、婦人科系疾患、そして女性の健康リテラシーなど、幅広い女性特有の健康課題に対応する技術が含まれます。

東京都では、このような分野において革新を起こす企業に対し、最大2,000万円の助成金を提供し、事業の推進をサポートします。

特にフェムテックは、女性が抱える多様な健康問題に対して、テクノロジーや革新的なアプローチを活用して、生活の質(QOL)向上を目指すものです。この助成金を活用することで、中小企業は製品の開発から普及までを効率的に進めることができます。  

 

助成内容

この助成事業では、以下の内容が支援されます。

 

項目 内容
助成対象期間 令和7年2月1日 ~ 令和8年10月31日(最長1年9ヶ月)
助成限度額 2,000万円
助成率 助成対象経費の2/3以内

 

対象となる事業は、女性の健康課題を解決する新製品やサービスの開発・改良および普及です。例えば、月経痛や月経前症候群(PMS)を緩和する製品や、不妊治療に関する医療機器、産後ケア用品、更年期障害の軽減を目指す製品などが該当します。  

 

助成対象事業

 

 

この助成事業の対象となるのは、東京都内の中小企業が実施する女性の健康課題に関連する製品やサービスの開発・改良・普及事業です。
また、以下の健康課題に関連したプロジェクトが支援対象となります。

 

健康課題 製品・サービスの概要
月経 月経に伴う月経痛や月経前症候群(PMS)の緩和等を目的とした製品・サービス 月経前症候群(PMS)オンライン処方、布ナプキン、経血ショーツ、月経カップ等の生理関連製品、生理の貧困に関するサービスなど
妊娠・不妊 妊娠への準備や不妊治療等に関する製品・サービス 不妊治療用医療機器、不妊治療可視化アプリ、妊娠・不妊に関する医療プログラム、排卵日測定デバイス、各種簡易検査キット(妊娠確認、子宮内環境等)など
産後ケア 出産後の母体が回復するまでの期間を支援する製品・サービス 授乳サポート製品、骨盤ケア製品、ホルモン検査による健康管理、産後女性の食生活相談サービスなど
更年期 更年期(閉経前後の約10年間)に生じる各種不調の緩和等を目的とした製品・サービス ホットフラッシュによる辛さを軽減する衣料品、閉経の遠隔医療、尿漏れ改善のためのトレーニング機器など
婦人科疾患等 子宮筋腫、乳がん、卵巣がん等の発見~治療後のサポート等に関する製品・サービス 乳がん術後用シリコンパッド、患者のQOL向上のための衣料品、婦人科系疾患等に関する医療プログラム、婦人科系疾患についてのチャット相談など
ヘルスリテラシー 健康に関連する正しい情報の収集・活用の支援に関する製品・サービス 女性特有の健康課題についての理解を促進するポータルサイト、企業向けのフェムテック福利厚生サービスなど

 

これらのテーマに該当する製品やサービスは、東京都内の市場ニーズに基づいて開発・改良が行われる必要があります。また、事業計画と資金計画がしっかりしていることも重要な要件です。  

 

助成対象とならない事業の例

  • 女性の健康課題解決を目的としていないもの
  • 具体的な販売予定がなく、研究開発のみを目的としているもの
  • 開業、運転資金など、開発・改良以外の経費の助成を目的としているもの
  • 生産・量産用の機械装置・金型の導入など、設備投資を目的としているもの
  • 開発・改良した試作品自体の販売を目的としているもの
  • 開発・改良の主要な部分が自社開発ではないもの
  • 開発・改良の全部又は大部分を外注(委託)しているもの
  • 量産化段階にある技術や既に事業化され収益を上げているもの
  • 既製品の模倣に過ぎないもの
  • 新たな開発・改良要素がないもの
  • 申請時において開発・改良が概ね終了しているもの
  • 令和8年10月31日までに、事業の完了が見込めないもの
  • 特定の顧客(法人・個人)向けで、汎用性のないもの
  • 公序良俗に反する事業など、事業の内容について公社が適切ではないと判断するもの

 

申請要件

申請を行うためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 東京都内に事業所を持つ中小企業または個人事業主
    申請者が東京都内に本社または支店を有している必要があります。
  2. 女性の健康課題に関連する事業であること
    開発・改良する製品やサービスが、女性特有の健康問題に対応していることが求められます。
  3. 事業の実施場所が東京都内であること
    事業の実施や成果物が東京都内で確認できる必要があります。
  4. 資金計画が適切であること
    助成金を適切に管理し、事業計画に基づいて使われることが求められます。

これらの要件を満たしているかどうかが審査の際に確認されます。  

 

助成対象経費

助成対象となる経費には、以下のものが含まれます。すべての経費は、助成対象期間内に発注・契約・支払いが完了している必要があります。

 

経費区分   内容
開発費

原材料・ 副資材費

製品・サービスの開発・改良に直接使用し、消費される原材料、副資材、部品等の購入に要する経費(輸送費含む)

試作品の部材、機械部品、試験用部品、化学薬品、生地等 
機械装置・ 工具器具費

開発・改良に直接使用する機械装置、工具、器具等を新たに購入・リース・レンタルする際に要する経費(据付費・輸送費含む)

検査機器、測定装置、試作金型、サーバ・システムのレンタル料、クラウドサービス利用料等
委託・外注費

自社内で直接実施することができない開発・改良の一部を外部の事業者等に依頼する経費

製造・改造・加工、試料の製造・分析鑑定等
産業財産権 出願・導入費

・開発・改良した製品の特許出願にかかる費用(外国出願の代理人費用や翻訳料を含む)。

・他の事業者から特許や実用新案を譲渡またはライセンスを受けるための費用。

外部専門家の技術指導への謝金、相談料等
専門家指導費

外部の個人(専門家)から技術指導を受ける場合に要する経費

 
直接人件費 助成事業者の役員及び正社員が研究開発又は改良に係る工程に直接従事する場合に要する経費
※直接人件費の助成限度額は1,000万円
※従事時間の上限は、1人につき1日8時間、年間1,800時間
 
展示会 参加費

本事業において開発・改良した製品・サービスの広報を目的として、展示会へ出展するための出展小間料(オンライン展示会含む)

 
広告費

本事業において開発・改良した製品・サービスを広報するための以下の経費

    1. 印刷物の製作に要する経費(製品カタログ、チラシ、リーフレット、ポスター)※ 印刷物製作費の助成限度額は50万円
    1. PR映像の製作に要する経費
      ※ PR映像製作費の助成限度額は50万円

    1. 広告の掲載に要する経費(新聞、雑誌)

  1. プレスリリース配信サービスの利用に要する経費
 

 

経費は適切に管理され、使用実績を報告する必要があります。また、助成対象外の経費(例えば、量産対応の機械装置購入費や消耗品費など)もありますので、注意が必要です。

 

達成目標

助成事業の実施に際しては、申請時に達成目標を設定する必要があります。達成目標には、開発する製品やサービスの機能や性能に関する具体的な目標を明確にし、これが実現されることが求められます。

達成目標は審査の評価項目の一つであり、事業完了時には検証が行われます。  

 

注意ポイント

達成目標に記載した全ての内容についての達成を、第三者である検査員が客観的に確認できない場合は、事業完了とならず、助成金は交付されません。 また、申請書提出後の達成目標の変更は、いかなる理由であってもできません。

 

申請から助成金交付までの流れ

助成金申請から交付までの基本的な流れは以下の通りです。  

 

 
事前準備

申請書類の準備、GビズIDプライムアカウントの取得など

 
電子申請

Jグランツにログインし、申請に必要な情報を入力および書類をアップロード

 
書類審査(一次)

申請書類に基づいた書類審査が行われ、通過者には面接審査の案内が通知されます

 
面接審査(二次)

申請事業者によるプレゼンテーションと質疑応答が行われます

 
助成事業開始

採択後、事業が正式に開始されます。事業開始後も公社担当者によるサポートが提供されます

 

助成金の交付は、事業完了後の報告と審査を経て最終的に決定されます。  

 

申請方法・期間

補助金-助成金の電子申請はjGrants
jGrantsのwebサイト

 

助成金の申請は、Jグランツ経由で行われます。申請書類は東京都の公社ウェブサイトからダウンロードし、必要事項を記載して提出します。

申請書類には、事業計画や資金計画、企業情報などが含まれており、申請期間は令和6年9月6日から9月30日までです。

また、申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要です。このアカウントの取得には時間がかかるため、早めの準備が推奨されます。  

 

[jGrants] https://www.jgrants-portal.go.jp/ 申請受付期間中のみ、申請フォームが表示されます

[gBizID] https://gbiz-id.go.jp/top/

 

審査方法と審査の視点

審査は書類審査と面接審査の二段階で行われます。

審査において、財務状況や事業実施に必要な資格を有するか等も評価されますが、審査における主な視点は、以下の通りです。

  • 適格性:女性の健康課題解決に即しているか
  • 新規性:新たな開発要素や技術的優位性があるか
  • 市場性:市場のニーズに適しているか
  • 実現性:開発を実現するための技術力があるか
  • 計画の妥当性:事業計画と資金計画が現実的かつ安全であるか

 

助成事業の実施および注意事項

助成事業の実施に際しては、事業計画通りに進行し、適切な経費管理を行うことが求められます。

また、助成金は事業の完了検査後に確定されるため、経費使用や進捗状況の報告が重要です。事業の完了時には、設定した達成目標が満たされているかどうかも確認されます。

また、助成金を不正に利用した場合や、目標未達成の場合には、助成金の返還が求められる可能性もあるため、事業の進行には細心の注意を払う必要があります。  

 

よくあるご質問

 

1. 申請について

 

Q1: 他の公的機関の助成金と同一テーマで重複申請は可能か?

A1: 併願申請は可能ですが、公社の助成金を利用する場合は他の助成金を辞退する必要があります。

 

Q2: 公社の他の助成事業と同一テーマで申請は可能か?

A2: 併願申請は認めていません。どちらか一方のみを申請してください。

 

Q3: 前年度に別テーマで採択された事業が実施中の場合、申請は可能か?

A3: テーマが実質的に別であれば申請可能です。

 

Q4: 直近決算期の確定申告書類がない場合はどうすればよいか?

A4: 一期前と二期前の確定申告書類を提出してください。

 

Q5: 決算期の変更で対象期間が12か月に満たない場合はどうすればよいか?

A5: 合計24か月分の確定申告書(3期以上)を提出してください。

2. 助成対象事業について

 

Q6: 申請したいテーマが製品・サービス例にない場合は助成対象外か?

A6: 例にない場合でも、女性の健康課題解決に関するテーマであれば申請可能です。

 

Q7: 男性を対象とする製品・サービスは助成対象外か?

A7: 男性の利用を通じて女性の健康課題解決に資するものであれば助成対象です。

 

Q8: 医療機器や医薬品も助成対象か?

A8: 対象ですが、安全性や信頼性の証明が必要です。

 

Q9: 既存の製品やサービスの改良は助成対象か?

A9: 新たな価値の付加や差別化を図る改良であれば助成対象です。

3. 申請要件について

 

Q10: どんな会社が助成対象となるか?

A10: 中小企業基本法上の会社が対象です。特定の法人は対象外です。

 

Q11: 創業予定者は都外でも申請可能か?

A11: 都内で創業を具体的に計画していれば申請可能です。

 

Q12: ファブレス企業でも申請可能か?

A12: 申請可能ですが、主要な開発部分は自社で行う必要があります。

 

Q13: 開発実施場所に他社を記載してもよいか?

A13: 申請者の事業所に限ります。

 

Q14: 開発の実施場所は他県でも構わないか?

A14: 原則として東京都内ですが、特定の条件下で首都圏内であれば申請可能です。

4. 助成対象経費について

 

Q15: 達成目標が達成できなかった場合、経費は支払われるか?

A15: 支払われません。達成目標の達成が条件です。

 

Q16: 申請前に支払った経費は対象になるか?

A16: 助成対象期間内に契約、取得、支払が完了した経費が対象です。

 

Q17: レンタルサーバ代、クラウドサービス利用料は助成対象経費になるか?

A17: 助成対象経費になります。

 

Q18: 見積書は1社分のみでよいか?

A18: 1件あたりの単価が税抜100万円以上の場合、2社分の見積書が必要です。

 

Q19: 仕様が決まってない場合は「未定」と記載してよいか?

A19: 「未定」とは記載せず、想定される仕様を記入してください。

 

Q20: 開発製品・サービスの宣伝を行ってよいか?

A20: 展示会出展や広報活動は可能ですが、販売・営業行為はできません。

5. その他

 

Q21: 販売開始はいつから可能か?

A21: 助成事業完了後から可能です。ただし、試作品の保存義務があります。

 

最後に

 

 

フェムテック分野は、女性が抱える健康課題に対するソリューションを提供し、社会的にも大きな影響を与える可能性を秘めた成長分野です。

東京都が提供する「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」は、東京都内の中小企業がこの分野での技術革新を推進するために大いに活用できる助成金制度です。

この機会を活かして、革新的な製品やサービスを開発し、女性の健康と生活の質を向上させることで、社会全体の発展に貢献することが期待されています。

貴社の取り組みが、フェムテックを通じて多くの女性に価値ある解決策を提供できることを願っています。

この助成金制度は限られた期間内での申請が必要ですので、事前準備をしっかりと行い、タイムリーに申請することが成功の鍵です。

助成金の活用を通じて、企業の成長と社会貢献を両立させるプロジェクトの実現を目指してください。    

 

 

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