中小企業庁は2023年1月10日、新型コロナウイルス感染症の影響による業況悪化に苦しむ中小企業に対して実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を始めとする、信用保証協会による保証付融資の借換え保証制度を新たに開始しました。
2020年3月から始まった「ゼロゼロ融資」の融資を受けている企業の返済が今年7月以降に本格化することから、新たな借り換えを保証する本制度始め、資金繰りへの支援を継続させる方針です。
そのため、コロナ融資を受けた事業者で、「そろそろ返済が始まる」と不安に思う方は、本記事の内容を知っておくことでスムーズな制度活用が可能となります。
目次
ゼロゼロ融資とは
「ゼロゼロ融資」は、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した中小企業の資金繰り支援を目的として、利子補給の制度を使い、無担保かつ3年間の実質無利子という好条件での融資制度で、多くの中小企業が活用しました。
尚、政府系金融機関では2020年3月、民間金融機関では同年5月に開始して、政府系金融機関は2022年9月、民間金融機関は2021年3月で受け付けを終了しています。
(株)帝国データバンクによれば、2022年8月におこなった調査で、新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業は49.2%、借入企業の32.6%は「未返済や今後返済開始」であり、今後の『返済に不安』を抱いている企業が12.2%にのぼっています。
コロナの影響の長期化や物価高など、引き続き厳しい状況に置かれている企業の返済はこれから本格化していきます。
- (株)帝国データバンク:新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査(2022年8月)
コロナ借換保証について
コロナ借換保証は、保証協会を通した民間金融機関で融資を受けたものが対象となります。保証協会付きの融資は対象となり、コロナ融資以外も対象ですが、プロパー融資(民間金融機関が信用保証協会をつけず独自に実施する融資)は対象外となります。
尚、日本政策金融公庫で借りたゼロゼロ融資は対象外となります。
日本政策金融公庫によるスーパー低利融資については、債務負担が重い事業者(債務償還年数が13年以上)であれば、売上減少要件を満たしていなくても融資対象となるよう、要件を緩和することで、借換えの円滑化を図る(2023年2月1日から)。
制度概要
- 保証限度額:(民間ゼロゼロ融資の上限額6千万円を上回る)1億円(100%保証の融資は100%保証で借り換え可能)
- 保証期間等:10年以内(据置期間5年以内)
- 保証料率:0.2%等(補助前は0.85%等)
保証料とは信用保証協会の信用保証制度を利用する対価のことです。ゼロゼロ融資では保証料が半額またはゼロになっていたので、「通常0.85%→0.2%」は、ゼロよりは厳しい内容ですが、通常よりははるかに有利な内容といえます。
さらに、これまで100%保証の融資を受けていた場合、コロナ借換保証を使った借り換えでも引き続き100%保証が可能になります。そのため、信用保証協会が融資額の全額を保証するため、金融機関は自身の貸し出しリスクが減るので融資しやすくなります。但し、借換後は実際に融資をすることになる金融機関の金利がかかります。
保証期間10年以内とありますが、実際は7年くらいが現実的な数字となるケースが多くなりそうです。また、据置期間(元金の返済が発生せずに、利息のみの返済をする期間のこと)は5年以内ですが、希望するならなるべく長く取ることがおすすめです。但し、実際は3年程度が現実的になりそうです。
借換えできる金額は、実際の財務状況にもよります。
要件
下記①~④のいずれかに該当すること。また、金融機関による伴走支援と経営行動計画書の作成が必要。
- セーフティネット4号の認定(売上高が20%以上減少していること。最近1ヶ月間(実績)とその後2ヶ月間(見込み)と前年同期の比較)
- セーフティネット5号の認定(指定業種であり、売上高が5%以上減少していること。最近3ヶ月間(実績)と前年同期の比較)
※1.2.について、コロナの影響を受けた方は前年同期ではなくコロナの影響を受ける前との比較でも可。 - 売上高が5%以上減少していること(最近1ヶ月間(実績)と前年同月の比較)
- 売上高総利益率/営業利益率が5%以上減少していること(3.の方法による比較に加え、直近2年分の決算書比較でも可)
保証限度額 | 1億円 |
---|---|
保証期間 | 10年以内 |
据置期間 | 5年以内 |
金利 | 金融機関所定 |
保証料(事業者負担) | 0.2%等(補助前は0.85%等) |
要件 | 売上または利益率が5%以上減少 など |
その他 | ・100%保証の融資は、100%保証での借換が可能 ・経営行動計画書の作成 ・金融機関の継続的な伴走支援 |
取扱期間 | 2024年3月31日まで(予定) ※信用保証協会に保証申込がなされたもの |
経営行動計画書と継続的な伴走支援
コロナ借換保証では、一定の要件を満たした中小企業が金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成した上で、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件としています。
経営行動計画書とは
「経営行動計画書」に記載するための財務分析、現状分析、アクションプラン、収支・返済計画などは決して容易ではありません。また、取引金融機関や保証協会、日本政策金融公庫が、将来の収益性について納得できるレベルのものを完成させることが必要です。

継続的な伴走支援とは
「継続的な伴走支援」とは、金融機関が借換融資後も事業者を支援していくことを意味します。実際には、毎月でなくても3ヶ月に一度くらいは試算表の提出を求められる形となると考えられます。
伴走支援型特別保証
中小企業庁には伴走支援型特別保証という制度があり、これはコロナ借換保証と似た内容になっています。
中小企業庁は伴走支援の必要性について「今後のコロナ禍の影響を正確に見通すことは非常に難しいため、中小企業の経営者が1人で悩むことなく、支援機関と相談をしながら経営改善の取組を進めることを後押しする必要がある」と述べています。
- 中小企業庁:伴走支援型特別保証制度
コロナ借換保証、いつから?
コロナ借換保証は2023年1月10日から開始します。
コロナ借換保証の手続きの流れ
コロナ借換保証を利用する際の手続きの流れは以下の通りです。
コロナ借換保証の手続きの流れ
- 事業者が経営行動計画書を作成して融資(借り換え)を申し込む
- 金融機関が与信審査を行う
- 市区町村がセーフティネット保証上の認定を行う
- 信用保証協会が保証審査を行う
- 融資(借り換え)の実施
- 金融機関が継続的な伴走支援を行う
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最後に
コロナ借換保証は、来年度の民間ゼロゼロ融資の返済開始時期のピーク(2023年7月~2024年4月)に備え、2023年1月10日から開始しました。
民間ゼロゼロ融資からの借り換えに加え、他の保証付融資からの借り換えや、事業再構築等の前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応して追加融資も可能であるとしています。もし、前向きな借換として事業再構築補助金(内容的に親和性が高い)を利用したいけど、資金がない・採択後の追加融資が必要などの状況の事業者による活用も可能です。
また、前述しましたが中小企業庁は「今後のコロナ禍の影響を正確に見通すことは非常に難しいため、中小企業の経営者が1人で悩むことなく、支援機関と相談をしながら経営改善の取組を進めることを後押しする必要がある」と述べています。
そのため、もし計画書作成等に自信がないようでしたら「早期経営改善計画策定支援事業(国が認定した専門家に支払う謝金の補助制度)」の活用を、認定支援機関に依頼することで、費用の負担を抑えて計画書の作成ができます。
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参考「経営改善計画策定支援事業(ポストコロナ・405事業)」の活用について
本記事では、事業者が 認定支援機関*の支援を受けつつ経営改善計画を作成したときは、その改善計画の作成にかかった費用の2/3を補助してくれる制度である早期経営改善計画策定支援事業(ポストコロナ持続的発展 ...
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こういった新たな制度の開始時は力を入れて推進しているが、時間が経つと審査が厳しくなる傾向があります。
また、3月は決算、4月より「経営者保証の徴求手続きの厳格化」が開始するなど融資契約の際は銀行員の負担が増加していることを考えると、不安を抱えている方は早めに行動することも重要です。
弊社では、認定支援機関として公的支援制度の活用をサポートしております。
コロナ借換保証は、資金繰りの負担を減らす効果が期待できますが、申し込みに必要な経営行動計画書の作成は簡単ではありません。
無理のない経営行動計画書の作成や、事業再生・事業再構築のために専門家に相談してみませんか。
コロナ借換保証の利用や、その際の認定支援機関が使える公的補助制度の活用を検討している中小企業の経営者や個人事業主は、ぜひ初回の無料相談をご利用ください。
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