- 補助金の特別枠の新設 ➡ 前向きな投資をおこなうための補助金
- 雇用調整助成金の申請要件緩和 ➡ 雇用の維持のための助成金
- テレワークに関する補助金・助成金 ➡ 経済産業省、厚生労働省、東京都がおこなうもの
それぞれを以下で説明していきます。
目次
1.補助金の特別枠の新設(生産性革命推進事業の拡充 )
生産性革命推進事業パンフレット
中小企業生産性革命推進事業*¹において、中小企業庁が所管する3つの補助金制度である、「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」に対して、2019年度補正予算で3600億円(年に1200億円ずつ3年間を支出)が措置済みです。
4月7日に政府が閣議決定した経済産業省の2020年度補正予算案では、さらに、新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響に対して、前向きな投資を行う事業者向けに各補助事業の補助率又は補助上限を引き上げた「特別枠」を新たに設けることになりました。(令和2年度補正予算案700億円)
※上記3つの補助金について
*¹:中小企業・小規模事業者は、人手不足等の構造変化に加え、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの、相次ぐ制度変更への対応や生産性向上のための取り組みが必要となっています。
このことから、中小企業・小規模事業者が柔軟に対応できるように、取組状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓等の支援を一体的かつ機動的に実施することで継続的に支援する事業。
経済産業省「令和2年度補正予算案の事業概要」令和2年4月 |
※本事業は令和2年度の補正予算の成立を前提としているため、事業内容が今後変更等されることがあります。
※現在公募を行っている各補助事業と同じスケジュールで公募を実施
※本特別枠は、年度内に予定している締切に適用
※特別枠を反映した公募要領は準備が整い次第、順次公開予定
【各補助事業の拡充内容】
①ものづくり補助金:補助率を1/2から2/3へ引上げ
- 中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援
②持続化補助金:補助上限を50万円から100万円へ引上げき
※4/20時点での予定では、持続化補助金の特別枠は4月下旬申請開始で5月15日(金)締切となっています。しかし、今後も複数回の募集を設けることも示唆しています。(制度内容、予定は変更する場合があります)
- 小規模事業者等が感染症の影響を乗り越えるために、経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援
③IT導入補助金:補助率を1/2から2/3へ引上げ
- 中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、ハードウェア(PC、タブレット端末等)のレンタル等も含めた、ITツール導入を支援
上記の各補助金の特別枠ですが、ものづくり補助金とIT導入補助金は、通常枠に準じたスケジュールとなっていますが、持続化補助金のみ通常と別のスケジュールとなっているために注意が必要です。
【申請要件】
補助対象経費の1/6以上が、以下の要件に合致する投資であること
A:サプライチェーンの毀損への対応
- 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
(例:部品調達困難による部品内製化、出荷先営業停止に伴う新規顧客開拓)
B:非対面型ビジネスモデルへの転換
- 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)
C:テレワーク環境の整備
- 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
(例:WEB会議システム、PC等を含むシンクライアントシステムの導入)
このように、補助率と補助金額の上限が引き上げになりました。
(例:300万円に対する補助率は、1/2で150万円支給され、2/3で200万円支給されます)
さらに、IT導入補助金では、今まで対象ではなかったハードウェア(PC、タブレット端末等)のレンタルなども含めたITツール導入を支援するとしています。
2.雇用調整助成金の拡大
前回のブログで、雇用調整助成金の特例措置の拡大(助成率:中小企業で10分の9、大企業で4分の3)を紹介させていただきましたが、手続きは従来通りであったために、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、手続きが煩雑で危機対応になっていませんでした。
そのため、「雇用調整助成金」の申請手続きを以下のようにすることで、事業主の申請手続きの負担軽減と支給事務の迅速化を図っています。
※申請書類の簡素化
- 申請書類の記載項目を半減:73事項 ➡ 38事項
- 記載事項の大幅な簡略化:日ごとの休業等の実績は記載不要(合計日数のみで可)
- 添付書類の削減・既存書類でも可能:資本額を確認するための証明書などの添付も省く、生産指標➡「売上」が分かる既存の書類で可、 出勤簿や給与台帳➡手書きのシフト表や給与明細でも可
さらに、助成内容や対象の拡充として、
※雇用調整助成金の特例を拡充
- 休業中に従業員のスキルアップ研修(自宅でインターネット等を用いた教育訓練なども)を実施した場合の上乗せ部分も拡充 ➡ 中小企業は1人1日あたり2400円に倍増し、大企業は1200円から1800円に引き上げる。
- 雇用保険被保険者でない労働者も休業の対象 ➡ 事業主と雇用関係にある週20時間未満の労働者(パート、アルバイト(学生も含む)等)など
3.テレワークに関する補助金・助成金
最後に、テレワークに関する補助金・助成金の紹介をしたいと思います。
【経済産業省】
■IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、企業の業務効率化・売上アップをサポート。
※IT導入補助金を含めた3大補助金について
【厚生労働省】
■働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成。
- 交付申請期間 2020年4月1日~2020年12月1日(予定)
■新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
特例として設けられた、新型コロナウイルス感染症対策を目的にテレワークへの取組を行う中小企業事業主を支援する時限付きの助成金。
- 交付申請期間 2020年3月9日~2020年5月29日(予定)
- 助成の対象となる事業の実施期間 2020年2月17日~2020年5月31日
【東京都】
■事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
新型コロナウイルス感染症等の拡大防止対策として、都内中堅・中小企業に対しテレワークの導入に必要な機器やソフトウエア等の経費を助成。
- 交付申請期間 2020年3月6日~2020年5月12日(予定)
- 助成の対象となる事業の実施期間 支給決定通知日以降、令和2年6月30日までに完了する取組
- 申請手続き詳細はこちら(東京しごと財団HP)。お問い合わせ先03-5211-2397(平日9時~17時、平日12時~13時、土日・祝日、年末年始を除く)
■はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)
東京都のワークスタイル変革コンサルティングを受けた企業等に、テレワークをトライアルするための職場構築経費及び制度整備費を補助。
■テレワーク活用・働く女性応援助成金
都内中堅・中小企業を対象に、テレワーク機器導入やサテライトオフィス利用を助成。
新型コロナウイルス感染症による影響は大きく、国・地方自治体の支援も、日々更新されています。そのため、まだまだ取得しづらい情報もあると思います。
少しでも情報提供になり、活用できる方が1人でも増えれば嬉しいです。
また、支援内容の変更などがあれば、当ブログも更新したいと思います。