神奈川県の補助金_生産性向上促進事業費補助金と小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金

補助金・助成金 資金調達

【神奈川県】中小・小規模事業者のための補助金(生産性向上とデジタル化推進)

神奈川県が打ち出した中小・小規模事業者向けの二大支援策、「生産性向上促進事業費補助金」と「小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金」は、地域経済の活性化と事業者の競争力強化を目指しています。

これらの補助金は、生産性の向上とデジタル化の推進に重点を置いており、神奈川県内で事業を展開する企業の経営の現代化を促し、未来への投資を後押しするものです。

この記事では、これらの補助金の目的、対象となる事業者、対象となる経費、申請方法、そして事業者がこれらの支援でどのようなメリットがあるかについて詳細に解説します。

 

申請期間

  • 生産性向上促進事業費補助金:令和6年4月1日~5月31日
  • 小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金:令和6年6月3日~11月29日予算がなくなり次第終了

 

中小企業生産性向上促進事業費補助金

「生産性向上促進事業費補助金」は、中小企業が直面する物価高騰や人手不足といった課題に対処し、生産性の向上(業務の効率化)を図るために設けられました。

この補助金は、新たな設備の導入やITサービスの活用を通じて、生産性の向上(業務の効率化)を図る事業を支援します。

補助金額は最大500万円(消費税及び地方消費税を除く)で、中小企業者が対象です。

 

表1:生産性向上促進事業費補助金の概要
事業区分 補助事業の内容 取組事例 補助率 補助上限額
生産性向上促進事業 生産性向上や業務プロセスの改善、 人手不足の解消に資する設備の導入等
  • 工作機械やロボットの導入
  • レーザー溶接機の導入
  • 自動調理器の導入、
  • CADシステムの導入 など
  • 中小企業 1/2以内
  • 小規模事業者 2/3以内
500万円 (下限額 25万円*)

※補助対象経費が中小企業 50万円以上、小規模事業者 37.5万円以上

 

対象事業者

補助金の対象となる事業者は次の通りです。

  • 神奈川県内で事業を営む中小企業者*
  • 補助対象者の範囲*で対象となりうる者に該当している
  • 令和5年4月1日時点までに開業届を税務署等に提出し、かつ事業実態(売上、仕入等が発生していること)がある
  • 過去にビジネスモデル転換事業費補助金の交付を受けた事業者も申請可能

 

※中小企業・小規模事業者の定義

 

中小企業者の定義

 

中小企業者の定義
業種
(日本標準産業分類)
中小企業者
(下記のいずれかを満たすこと
資本金の額又 は出資の総額 常時使用する 従業員の数*
① 製造業・建設業・運輸業 その他の業種(②~⑦を除く) 3億円以下 300 人以下
② 卸売業 1億円以下 100 人以下
③ サービス業(⑥、⑦を除く) 5,000 万円以下  100 人以下
④ 小売業・飲食店 5,000 万円以下 50 人以下
⑤ ゴム製品製造業 3億円以下 900 人以下
⑥ ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円以下 300 人以下
⑦ 旅館業 5,000 万円以下 200 人以下

 

 

小規模事業者の定義

 

小規模事業者の定義
業種
(日本標準産業分類)
常時使用する 従業員の数*
製造業その他 20 人以下
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業以外) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20 人以下

 

「常時使用する従業員数」に含めないもの

  • 会社役員(ただし、従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含めます)
  • 個人事業主本人及び同居の親族従業員(別居の親族従業員は「常時使用する従業員の数」に含めます)
  • (申請時点で)育児休業中・介護休業中・傷病休業中又は休職中の社員(法令や社内就業規則等に 基づいて休業・休職措置が適用されている者)
  • パートタイム労働者等(通常の従業員の所定労働時間に比べて 短い者 )

 

※補助対象者の範囲

事業形態が対象となるかは以下の表を参考にしてください。

 

補助対象者の範囲
補助対象となりうる者 補助対象にならない者
  • 個人事業主
  • 個人開業医
  • 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社
  • (特例)有限会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)
  • 士業法人
  • 農業法人(会社法の会社又は有限会社に限る。)
  • 事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会
  • 特別の法律によって設立された組合又はその連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の三分の二以上が中小企業者に該当する者であるもの(組合員が一般消費者等である生活協同組合等は対象となりません。)
  • 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者も含む)
  • 大企業(みなし大企業を含む)
  • 特別の法律により設立された法人(医療法人 宗教法人 学校法人 農事組合法人 社会福祉法人 商工会・商工会議所 など)
  • 特定非営利活動法人
  • 一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人
  • 任意団体
  • 複数の法人及び個人事業主による事業実施場所が同一の場合の重複申請者
    ※住所が同一の場合など
  • 実態のある事業を営んでいない事業者
  • 令和5年4月1日時点で創業していない事業者

 

補助要件

補助対象の事業者は、以下の補助要件も満たす必要があります。

  • 付加価値額を年率平均1.5%(3年で4.5%)以上増加させる計画であること
  • 給与支給総額を増加させること
  • 事業を神奈川県内の事業所で実施すること
  • 補助事業に必要な発注は原則神奈川県内事業者に行うこと

 

対象経費

補助対象経費は、①機械装置等費、②ITサービス導入費、③施設工事費となります。

 

対象経費
対象経費の区分 内容 補助上限額
➀ 機械装置等費 補助事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費 500 万円
➁ ITサービス導入費 補助事業の遂行に必要なITサービスやシステムの導入・開発に要する経費 50 万円
➂ 施設工事費 機械装置等を設置するために必要な最低限の改修工事に要する経費

※この費用のみの申請はできません

100 万円

 

補助対象経費の例

補助対象経費になるかの例は以下で示しますが、一部そのほか補助対象にならない経費もあります。

 

対象経費の例
対象経費の区分 補助対象となる経費例 補助対象とならない経費例
➀ 機械装置等費
  • NC工作機械、マシニングセンタ
  • ロボット
  • レーザー溶接機
  • 大型転写機
  • 自動調理器
  • 真空包装機
  • キッチンカー:調理機能を有しており、調理設備が容易に分離できないものであり、かつ、 外形上その目的以外に利用できない自動車
  • フォークリフト等の補助事業専用に使用する特殊自動車 など
  • 単なる設備の更新で生産性の向上に繋がらないもの
  • 新札・新硬貨に対応するためだけの券売機等機械の更新 (生産性向上が見込める計画があれば、申請可)
  • 汎用的に使用可能な自動車(トラック等も含む)・船舶・航空機
  • (ある機械装置等を商品として販売・賃貸する補助事業者が行う)当該機械装置等の購入・仕入れ(デモ品・見本品とする場合でも不可)
  • 機械装置等の修理費用
  • 楽器、娯楽・遊戯機器と認められるもの
  • じゅうたん等の床用敷物、室内装飾品
  • 事務用プリンター、複合機、ユニット
  • 電話機、スマートフォン(タブレット端末として使用する場合のみ対象
➁ ITサービス導入費
  • ECサイト作成・改修費
  • 会計管理ソフト導入費
  • 顧客管理ソフト導入費
  • 在庫管理システム導入費
  • RPA導入費
  • オーダーエントリーシステム導入費
  • WEB会議システムサービス導入費
  • WEB予約、キャッシュレス決済、セルフ(無人)レジ等、システムの月額・年間利用料(ただし、補助事業実施期間分の月割り計算とし、1月に満たない日数は日割り計算とする。)
  • ホームページの作成・改修費
  • マイクロソフトoffice(365含む)等の一般事務用ソフトウェア
  • OS更新料、既に導入しているソフトウェアの更新料
  • ITサービスの利用に要するサーバーの月額・年間利用料
  • セキュリティ対策ソフトウェア
➂ 施設工事費
  • 大型機械導入に係る動線変更工事
  • 機械の導入に必要な電源工事
  • 機械装置やITサービスの導入に付随する電気や床等の工事ではなく、単独で行う工事

 

小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金

「小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金」は、人手不足が課題となる小規模事業者を対象に、デジタル技術の導入による業務プロセスを改善し、サービスの質を高めるために設けられました。

この補助金は、セルフオーダーシステムの導入や顧客管理システムの導入、ホームページの作成・更新など、デジタル化に関連する経費に対して、最大50万円(補助率2/3以内)の補助を行います。

 

表2:小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金
事業区分 補助事業の内容 取組事例 補助率 補助上限額
小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金 人手不足の解消や業務効率化に資するシステム導入等
  • セルフオーダーシステムを導入し、ホール業務の効率化を図る事業
  • 顧客管理システムを導入し、営業業務を効率化する事業 など
2/3以内 50万円

 

対象事業者

補助金の対象となる事業者は次の通りです。

  • 神奈川県内に事業所を有し、小規模事業者*の定義に合致する事業者
  • 補助の対象となる事業を県内の事業所で実施

 

補助対象者の範囲

事業形態が対象となるかは以下の表を参考にしてください。

 

補助対象者の範囲
補助対象となりうる者 補助対象にならない者
  • 会社及び会社に準ずる営利法人 (株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人(弁護士、税理士等))
  • 個人事業主(商工業者であること)
  • 医師、歯科医師、助産師
  • 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様)
  • 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
  • 一般社団法人、公益社団法人
  • 一般財団法人、公益財団法人
  • 医療法人、宗教法人、NPO法人
  • 学校法人、農事組合法人、社会福祉法人
  • 任意団体 等

 

 

補助要件

補助対象の事業者は、以下の補助要件も満たす必要があります。

  • 企業経営の未病CHECKシート(以下「CHECKシート」という。)を実施し、「店員」や「従業員」にリスク(=人手不足)があることを確認していること(「店員」や「従業員」の項目が0点でないこと)
  • 令和5年4月1日までに創業していること
  • (公財)神奈川産業振興センターが主催する事前相談会における事前相談又は、(公財)神奈川産業振興センター、商工会等における個別相談を受けていること
  • 営業利益率が向上する事業であること
  • 事業を神奈川県内の事業所で実施すること
  • 県税の未納がないこと

 

補助対象となる事業(取組み)

補助対象となる事業は、複数のプロセスを同時に申請することもできますが、補助上限額は各プロセス合計で50万円になります。

 

補助対象となる事業
区分 プロセス 内容 取組事例
デジタル化事業 ①業種特有業務効率化事業 業種ごとの業務の効率化に適したITサービスの導入等を行う。
  • 建設業:工程管理システムの導入
  • 製造業:生産管理システムの導入
  • 運輸業:運行管理システムの導入
  • 小売業:在庫管理システムの導入
  • 飲食業:セルフオーダーシステムの導入
  • サービス業:予約管理システムの導入 など
②経理業務効率化事業 経理、会計業務の効率化に適したITサービスの導入等を行う。
  • 会計システムの導入
  • 見積書作成、請求書発行システムの導入 など
③営業業務効率化事業 営業業務の効率化に適したITサービスの導入等を行う。
  • 顧客管理システムの導入
  • 受発注管理システムの導入 ・契約管理システムの導入
  • ホームページの作成・更新(補助上限10万円) など
④労務管理効率化事業 人事、労務管理業務の効率化に適したITサービスの導入等を行う。
  • 労務管理システムの導入
  • 勤怠管理システムの導入 など
⑤その他業務効率化事業 上記以外の業務に係るITサービスの導入等を行う。
  • マニュアル作成システムの導入
  • RPA作成ツールの導入
  • グループウェアツールの導入 など

 

 

対象経費

補助対象経費は、①ITサービス導入費、②機械装置等費、③HP作成改修費となります。

 

対象経費
対象経費の区分 内容 対象外となるもの 補助率 補助上限額
➀  ITサービス導入費 補助事業のために使用される専用ソフトウェア、クラウドサービス、ECサイト等の導入、開発に要する経費(導入費、月額利用料等)が補助対象となります。
  • 決済手数料等従量料金で請求される経費
  • マイクロソフトoffice等の一般事務用ソフトウェア、デザインソフトウェア
  • 既に導入しているソフトウェア、クラウドサービス等の更新料、解約料
  • インターネット導入費用、通信料
2/3 以内 50 万円
➁ 機械装置等費 ①で導入するソフトウェア・クラウドサービスを使用するために必要な機械装置等の購入に要する経費が補助対象となります。ただし、パソコン、タブレット及びその周辺機器(マウス、キーボード、ディスプレイ)の補助上限は合計で10万円です。
  • 汎用的に使用可能な自動車(トラック等も含む)、自転車
  • マウス、キーボード、ディスプレイ以外のパソコン、タブレット周辺機器
  • 単なる買い替えや更新であるもの
➂ HP作成改修費 補助事業のために使用されるホームページの作成、更新に要する経費(作成、更新費、サーバ利用料等)が補助対象となります。ただし、補助上限は10万円です。
  • ホームページの作成や更新を伴わないSEO対策
  • 広告費

 

 

どのようなメリットがあるか

これらの補助金を活用することで、中小・小規模事業者は以下のようなメリットを得ることができます。

  • コスト削減:新技術の導入による効率化で、長期的には運営コストの削減が期待できます。
  • 競争力の向上:生産性の向上やサービスの質の改善を通じて、市場での競争力を強化できます。
  • デジタル化の推進:デジタル技術を活用して業務の自動化や顧客サービスの向上を図ることが可能です。
  • 持続可能な成長:デジタル化による業務改善は、事業の持続可能な成長に寄与します。

 

申請方法と事前準備

これらの補助金を申請するには、神奈川県の指定する手続きに従い、申請期間内に必要書類を提出する必要があります。申請は原則電子申請となりますが、電子申請システムを使用できない事業者のみ郵送可能となっています。

尚、デジタル化支援補助金では、事前相談を通じて申請者が直面する課題解決に適したデジタル化対象業務を明確化する必要があります。

 

生産性向上促進事業費補助金

申請方法
  1. 事前相談:申請前に、指定された機関で事前相談を行うことが推奨されます(任意)。
  2. 書類準備:公募要領に従って必要書類を準備します。
  3. 電子申請:神奈川県の電子申請システムを利用して申請します。
申請期間

令和6年4月1日から5月31日まで

 

小規模事業者デジタル化支援推進事業費補助金

申請方法
  1. 事前相談:デジタル化対象業務の明確化のため、事前相談を受けます(必須)。
  2. 書類準備:補助金申請に必要な書類を準備し、計画の詳細を明確にします。
  3. 電子申請:指定された期間内に電子申請を完了させます。
申請期間

令和6年6月3日から11月29日まで

ただし、予算の限りがあるため、早めの申請が推奨されます。

 

最後に

神奈川県が提供するこれらの補助金は、中小・小規模事業者にとって大きなチャンスです。

生産性の向上とデジタル化は、企業が直面する課題を克服し、競争力を高めるために不可欠な要素です。適切な準備と計画をもってこれらの補助金に申請し、事業の発展につなげましょう。

事業の革新と成長を目指す神奈川県内の中小・小規模事業者の皆様はこれらの支援策を最大限活用できるようにしましょう。

 

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