補助金を活用して設備投資やホームページ制作、業務効率化を進めたいと考えたとき、多くのヘルスケア事業者が悩むのが「申請は自分でやるべきか、それとも代行を使うべきか」という判断です。
インターネット上には「自分でもできる」「代行は高い」「丸投げは危険」といった情報があふれており、かえって判断が難しくなっている方も少なくありません。
実際には、補助金の種類や金額、事業の状況によって、自分で申請した方がよいケースと代行を使った方が結果的に合理的なケースがあります。
本記事では、治療院・整体院・美容サロン・クリニック・介護福祉施設などのヘルスケア事業者向けに、補助金申請を「自分で行う場合」と「代行を利用する場合」の違いやメリット・デメリットを整理し、どのような基準で判断すべきかを分かりやすく解説します。
目次
1. ヘルスケア事業者が補助金申請で悩みやすい理由
1-1. 制度が多く、情報が断片的になりやすい
ヘルスケア業界では、小規模事業者持続化補助金、新事業進出補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金、事業承継・M&A補助金、自治体独自の助成金など、複数の制度が存在します。
それぞれ目的や対象経費、申請難易度が異なるため、「自院・自社にどれが合っているのか」が分かりにくくなりがちです。
1-2. 本業が忙しく、申請準備に時間を割きにくい
治療・施術、スタッフ管理、予約対応、経理など、日々の業務に追われる中で、公募要領を読み込み、事業計画書を作成し、必要書類を揃えることは大きな負担になります。
「途中まで調べたが、結局よく分からず放置してしまった」という声も少なくありません。
1-3. 「失敗したら無駄になる」という不安
補助金は原則として審査制であり、申請すれば必ず採択されるわけではありません。
そのため、「時間をかけて準備しても落ちたら意味がない」「書き方を間違えたら不利になるのでは」といった不安から、申請自体をためらうケースも多く見られます。
必要な書類を提出すれば受け取れる「給付金」とは違い、補助金では、作成した事業計画が事業の成長につながるか、そして将来的に社会や税収へ貢献するかといった点が確認されます。
つまり、国は補助金を「事業を後押しするための投資」として考えています。
2. 自分で補助金申請を行う場合のメリット・デメリット
2-1. 自分で申請するメリット
① 費用がかからない
最大のメリットは、代行費用が不要である点です。
補助金は採択されても後払いが原則のため、初期費用を極力抑えたい事業者にとっては魅力的に映ります。
② 事業内容を深く見直す機会になる
事業計画書を自分で作成する過程で、以下を整理できるという副次的効果もあります。
- 強みや課題
- 今後の方向性
- 投資の優先順位
③ 小規模・簡易な補助金には対応しやすい
比較的申請書類が少なく、計画内容もシンプルな補助金であれば、自力での対応が現実的な場合もあります。
2-2. 自分で申請するデメリット
① 公募要領の解釈ミスが起こりやすい
補助金の公募要領は、法律・制度用語が多く、読み慣れていないと誤解しやすい内容です。
対象経費だと思っていたものが実は対象外だった、というケースも珍しくありません。
② 書類作成に想像以上の時間がかかる
事業計画書は「想い」だけでなく、以下などが求められます。慣れていない場合、何十時間もかかることもあります。
- 市場性
- 実現可能性
- 数値の根拠
③ 採択されにくい構成になってしまう可能性
審査では、一定の評価観点に基づいて点数化されます。
この「審査側の視点」を知らないまま作成すると、内容は良くても評価されにくい構成になってしまうことがあります。
3. 補助金申請代行を利用する場合のメリット・デメリット
3-1. 代行を利用するメリット
① 申請の成功確率を高めやすい
補助金申請に精通した専門家は、以下を踏まえてサポートを行います。結果として、採択される可能性を高めやすいのが大きなメリットです。
- 審査項目を意識した構成
- 過去の採択傾向
- 減点されやすいポイント
② 本業に集中できる
ヒアリングや確認作業は必要ですが、ゼロから調べて書類を作成する負担は大幅に軽減されます。
忙しい事業者ほど、この価値は大きくなります。
③ 計画と実行(投資内容)をセットで考えられる
補助金申請代行では、「とりあえず通す」ではなく「補助金後に本当に意味のある投資か」まで踏み込んで整理できるケースも多く、結果的に事業改善につながりやすくなります。
補助金申請代行サービスを利用する際の大切なポイント
補助金申請代行サービスを活用する場合であっても、事業計画書は第三者が一方的に作成できるものではありません。
最低限、以下を事業者自身が説明できる状態であることが必要です。
●自社事業の現状(うまくいっている点、課題となっている点)
●今後のビジョン(何を実現したいのか)
●その実現のために、補助金を活用して何に取り組みたいのか
その内容を整理し、論理的かつ実現可能な形で事業計画書に落とし込む役割を担うのが、補助金申請代行サービスだと考えています。
なお、事業者が主体的に検討していない申請は、不採択となる可能性が高くなります。
そのため、「勝手に作っておいて」といった対応は通用しません。
また、事業者の実態と乖離した事業計画書を作成・提出した場合、不正行為と判断され、公表等の対象となるケースもあります。
3-2. 代行を利用するデメリット
① 費用がかかる
代行費用は、着手金+成功報酬型、または成功報酬のみなど様々ですが、一定のコストが発生する点は否定できません。
② 「丸投げ」はできない
あくまで申請主体は事業者自身です。
ヒアリング対応や内容確認を怠ると、実態と乖離した計画になるリスクもあります。
【参考】近年のヘルスケア業界における補助金制度の変化と注意点
ここで、「自分で申請するか」「代行を利用するか」という判断に入る前に、近年のヘルスケア業界における補助金制度の重要な変化について触れておきます。
この点を理解していないと、申請方法を検討する以前に、前提条件そのものを見誤ってしまう可能性があるためです。
近年、ヘルスケア業界向けの補助金制度では、公的制度収入(診療報酬、療養費、介護・障害福祉報酬など)が事業収入の大半を占める場合や、補助金を活用する取組み自体が公的制度収入につながる場合について、「補助対象外」と明記される制度が増加しています。
これは、すでに公的制度によって成り立っている事業が、さらに補助金を活用することを「二重の公的支援」とみなす考え方が強まっていることが背景にあります。そのため、医療機関、治療院、介護福祉施設などでは、
- 保険診療と自由診療の割合
- 補助金を活用する取組みが「自由診療・自費事業向け」かどうか
といった点を、申請前の段階で明確に整理しておく必要性が高まっています。
また近年は、補助金をWeb関連の販促費用のみに充てることが認められない制度も増えています。
補助金制度の主目的は、あくまで
- 事業やサービスそのものに関わる設備投資
- 提供体制や業務プロセスの整備
にあり、ホームページ制作や広告、Web集客施策は、それらを周知・訴求するための「付随的な費用」と位置づけられる傾向が強まっているためです。
その結果、「ホームページを作りたいから補助金を使う」「広告費を補助金でまかないたい」といった発想だけで進めてしまうと、制度趣旨に合わず申請自体ができない、あるいは不採択となるケースも珍しくありません。
このように近年の制度動向を踏まえると、補助金申請において最も重要なのは、「自分で申請するか」「代行を使うか」を考えることよりも先に、そもそも“自社・自院の取組みが対象になるのか”を正確に把握することだと言えます。
4. どちらを選ぶべきか?判断のための具体的な基準
ここからは、「自分で申請する」「代行を利用する」どちらを選ぶべきかを判断するための、実務的な基準を整理します。
4-1. 補助金の金額・難易度で判断する
まず重要なのは、申請する補助金の規模と難易度です。次のような補助金であれば、自分で申請する選択肢も現実的です。
- 補助金額が数万円〜20、30万円程度
- 申請書が比較的シンプル
- 採択率が高め
一方で、以下のような補助金の場合、代行を使うことで失敗リスクを抑える価値が高くなります。
- 補助金額が数百万円〜数千万円
- 事業計画書の分量が多い
- 審査項目が細かく設定されている
4-2. 申請に割ける時間・労力で判断する
次に考えるべきなのが、自分がどれだけ時間を割けるかです。
- 平日にまとまった時間を確保できる
- 書類作成や調査が苦ではない
こうした場合は、自力申請でも対応可能でしょう。
しかし、「日中は施術や診療で手一杯」「夜や休日に書類作成を行う余裕がない」という場合、無理に自分で進めることで、次のような事態になりやすくなります。
- 中途半端な内容になる
- 締切直前で断念する
4-3. 補助金を「一度きり」で考えているかで判断する
補助金を、「今回だけ使えればいい」のか、「今後の事業成長の一環として活用したい」のかによっても判断は変わります。
単発で小規模な投資であれば自力申請、継続的な設備投資・集客強化・業務改善を見据えるなら、専門家と一緒に整理する方が長期的に有利になるケースが多いです。
5. ヘルスケア業種別に見る考え方の違い
ヘルスケア業界が補助金申請で判断に迷いやすい理由の一つに、事業内容を「論理的に説明することの難しさ」があります。
これは、一般的な製造業やIT企業とは異なる、業界特有の構造や規制が関係しています。
5-1. 治療院・整体院・鍼灸院の場合
治療院・整体院・鍼灸院では、施術技術や経験値といった「目に見えにくい価値」が競争力の源泉となっています。
しかし補助金の審査では、以下のように、第三者が理解できる論理構造で説明することが求められます。
- ○○に対して△△するアプローチである
- その結果として××という効果が期待できる
技術的な強みを言語化しにくい問題
例えば、以下などが競合に対して明確な強みである一方、「なぜそれが事業として有利なのか」を文章で説明することが難しくなりがちです。
- 特殊な施術技術
- 独自の施術理論
- 経験年数の長さ
事業計画書では、「○○に△△するアプローチのため、××という技術・設備が必要であり、これが競合との差別化につながる」といった形で、施術内容と投資内容を論理的につなぐ視点が重要になります。
業界特有の働き方・制度理解も必要
また、治療院業界では、一般企業とは異なる前提条件があります。
- 施術時間=売上という構造
- 国家資格制度
- 保険・自費の考え方
これらを理解せずに作成された事業計画書は、審査側に実態が伝わりにくくなる傾向があります。
5-2. 美容・エステサロンの場合
美容・エステサロンでは、「効果の説明が主観的になりやすい」という課題があります。
効果・価値の説明が難しい業界
例えば、以下のような価値は重要であるものの、「○○に△△が作用するから××という効果がある」という因果関係を整理して説明することが難しいケースが多く見られます。
- 肌質改善
- リラクゼーション効果
- 満足度向上
補助金申請では、単なるイメージ訴求ではなく、次の観点で、事業としての合理性を示すことが求められます。
- 施術工程
- 使用する設備・システム
- 業務効率や顧客体験への影響
制度対象かどうかの判断が難しい
美容業界は、次のようなケースが多く、申請可否の見極め自体が難しい業種です。
- 対象外だと思い込んでいる
- 実は自治体助成金の対象になる
そのため、最初から自力で判断するよりも、業界特性を理解した第三者に確認する方が、時間的・精神的負担を抑えやすくなります。
5-3. クリニック・介護福祉施設の場合
クリニックや介護福祉施設では、公的制度との関係性を踏まえた説明が不可欠になります。
業界構造が一般企業と大きく異なる
医療・介護分野では、業界の「当たり前」が一般企業とは大きく異なります。
- 医療報酬・介護報酬制度
- 人員配置基準
- 業務内容の法的制約
事業計画書においても、これらの前提を理解した上で、以下の内容を説明しなければなりません。
- なぜこの投資が必要なのか
- 制度と矛盾しないか
- 継続的な運営が可能か
規制・法的理解が不足するとリスクになる
ヘルスケア分野は、次の法的規制などが多い業界です。
- 業法
- 広告規制
- 提供内容の制限
これらを考慮せずに作成された計画は、採択以前に「実行性に疑問がある」と判断される可能性があります。
5-4. ヘルスケア業界共通の注意点
ヘルスケア業界全体に共通するのは、次の点です。
- 技術や効果を感覚的に説明しがち
- 業界構造が特殊
- 規制・制度の影響が大きい
そのため、補助金申請では「専門家でない第三者にも伝わる形で事業を翻訳する作業」が不可欠になります。
この翻訳作業を自力で行うのが難しいと感じる場合は、申請代行や事前チェックを活用することで、無駄な試行錯誤を減らすことができます。
6. よくある誤解と注意点
6-1. 「代行を使えば必ず採択される」は誤解
補助金はあくまで審査制であり、代行を使っても必ず通るわけではありません。
重要なのは、
- 現実的な事業計画か
- 制度の趣旨に合っているか
という点です。
6-2. 「とりあえず申請してから考える」は危険
補助金は採択後に、以下などが必要になります。
- 実績報告
- 証憑管理
無理な計画で申請すると、採択後に運用できず、結果的に負担になることもあります。
6-3. 申請前の「確認不足」が最大のリスク
実務上もっとも多い失敗は、「そもそも対象かどうかを確認しないまま進めてしまうこと」です。
- 対象外事業だった
- 補助率・上限を勘違いしていた
こうしたミスは、事前チェックだけで防げるケースがほとんどです。
自分で申請するか、代行を使うか。その判断の前に
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補助金活用で後悔しないための、最初の一歩
補助金申請は、「自分でやるか」「代行を使うか」を決めることがゴールではありません。
重要なのは、自院・自社の取組みが制度の対象になるかどうかを正しく把握することです。
Prantsの補助金チェック無料サービスでは、ヘルスケア業界の事業内容を踏まえた上で、現在検討可能な補助金の方向性を整理することができます。
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まとめ
補助金申請は、「自分でやるべきか」「代行を使うべきか」という二択ではなく、補助金の規模や難易度、事業の状況、本業に割ける時間によって最適な選択が変わります。
小規模でシンプルな補助金であれば自力申請も可能ですが、金額が大きい場合や、事業計画の整理が必要な場合には、専門家のサポートを受けることで失敗リスクを抑えやすくなります。
特にヘルスケア事業者は、制度の対象可否や業界特有の注意点でつまずきやすいため、申請前に「自分が使える補助金かどうか」を確認することが重要です。
まずは事前チェックを行い、その上で自力か代行かを判断することが、後悔しない補助金活用への近道と言えるでしょう。
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ヘルスケア業界
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