今回は、新型コロナウイルスの影響による「3大補助金の特別枠」について説明していきます。
3大補助金とは、中小企業庁が所管する中小企業生産性革命推進事業という補助金制度で、「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「IT導入補助金」を指します。
●補助金について【概要】
この生産性革命推進事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越える
ために前向きな投資を行う事業者を支援するために、通常枠に加えて特別枠が創設されました。
そのため、共通の申請要件と、それぞれの補助金について以下で紹介していきます。
目次
特別枠共通の申請要件
■特別枠の申請要件(3つの補助事業に共通)
【申請要件】補助対象経費の1/6以上が、以下のいずれかの要件に合致
する投資であること
A:サプライチェーンの毀損への対応
顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと
(例:部品調達困難による部品内製化、製品の安定供給・増産体制のための設備更新)
B:非対面型ビジネスモデルへの転換
非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと
(例:店舗販売からEC販売へのシフト、VR・オンラインによるサービス提供)
※単に認知度向上のためのHP開設は、対象になりません。
C:テレワーク環境の整備
従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること
(例:WEB会議システム、クラウドサービスの導入、PC等を含むシンクライアントシステムの導入)
なお、「通常枠」でも新型コロナウイルス感染症で影響を受けていることを条件に、
優先的に採択する措置が講じられる場合があります。
※通常枠の公募も行われています
「通常枠」における影響を受けた事業者の優先採択措置
➀持続化補助:感染症の影響によって売上が減少した事業者等を審査において加点
➁ものづくり補助:特別枠で採択されなかった事業者は、通常枠で再度審査その際は、加点措置を講じる
③IT導入補助:テレワークの導入に取り組む場合は、審査において加点
1.小規模事業者持続化補助金
中小機構パンフレット「小規模事業者持続化補助金」 |
■概要
本事業は、小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、持続的な経営に向けた経営計画に基づく地道な販路開拓等の取組で、且つ、新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える特徴的な影響を乗り越えるための前向きな投資を行う取組に要する経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。
■特別対応型(特別枠)の特徴
➀上限枠の引き上げ:50万円➡100万円
➁訴求適用:2020年2月18日以降に発生した経費を遡って補助対象経費とする
➂概算払い制度:一定の要件(売上減少証明書の提出等)を満たす場合、審査後に概算払いによる即時支給(交付決定額の50%)を受けることができる➡従来の「交付決定を待ってから事業を行う(投資を開始する)」といった形ではなく、交付決定前から事業を行うこと(投資を行うこと)が可能
■公募期間
・公募開始:2020年4月28日(火曜)18時
・申請受付:2020年5月1日(金曜)予定
・締切:2020年5月15日(金曜)【必着】
※本事業については、年複数回受付締切を設けて、それぞれ審査を行い、交付決定を行います。(制度内容、予定は変更する場合がございます。)
■特別枠の要件
通常枠の要件に加え、補助を申請する経費の1/6以上が、共通の申請要件であるA・B・Cのいずれかの投資である場合、上限100万円を上限に、2/3まで補助されます。
通常枠について
現在、第2回の公募が出ていますが、2020年1月以降の創業者は上限100万円となっています。これは、持続化給付金などの対象となっていなかった事業者への特例ともいえそうです。
■通常枠のスケジュール
- 第1回受付締切:2020/3/31(火)[郵送:必着]
- 第2回受付締切:2020/6/5 (金)[郵送:必着]
- 第3回受付締切:2020/10/2(金)[郵送:必着]
- 第4回受付締切:2021/2/5 (金)[郵送:必着]
■電子申請:今回の公募から対応(電子申請にすることで、煩雑な申請が簡易となりますので、事前にgBIZ IDの取得をお勧めします)
2.ものづくり補助金
中小機構パンフレット「ものづくり補助金」 |
■概要
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。
さらに、新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者に対して、通常枠とは別に、補助率を引き上げ、営業経費を補助対象とした「特別枠」を新たに設け、優先的に支援します。
ものづくり補助金の特別枠は一般型と同時に公募がおこなわれているため、一般型と比較した特別枠の特徴は以下の通りです。
【一般型】
・補助金額:100万円~1,000万円
・補助率:中小企業者 1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3
➡一律 2/3(特別枠)
・設備投資:単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要
・補助対象経費:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
➡上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費も対象経費に追加(特別枠)
・優先的に採択:特別枠の要件を満たす申請は、特別枠で不採択になっても通常枠で優先的に審査されます。
・補助対象の遡及適用:現況を乗り越えるために必要不可欠な緊急の設備・システム投資等であると認められる特別枠の申請者に限り、補助金交付決定前であっても、事務局から事前着手の承認を受けた日以降に発注・購入・契約等を行った事業に要する経費を、特例として対象とすることができます。
※事前着手の承認のための申請受付期間:令和2年5月7日(木)17時まで(必着)
・申請要件の緩和:一般型の要件である付加価値向上・賃上げの達成年限を1年猶予
※一般型の申請要件
○以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
■公募期間(一般型2次・特別枠)
・公募開始日:令和2年3月31日(火) 17時
・申請開始日:令和2年4月20日(月) 17時
・申請締切日:令和2年5月20日(水) 17時
※一般型3次のスケジュール
・公募開始日 17時:令和2年5月20日(水) 17時
・申請開始日 17時:令和2年6月(予定)
・申請締切日 17時:令和2年8月(予定)
■特別枠の要件
一般型の要件に加え、補助対象経費の6分の1以上が、共通の申請要件であるA・B・Cの要件に合致する投資であること。
■電子申請:必須
3.IT導入補助金
中小機構パンフレット「IT導入補助金」 |
■概要
新型コロナウイルス感染症が事業環境に与えた影響への対策および同感染症の拡大防止に向け、具体的な対策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備など)に取り組む事業者によるITツール導入などを優先的に支援するために創設されたもの。
■特徴
通常枠(A類型・B類型)と比べた特別枠(C類型)の特徴は以下の通りです。
・補助金額:30〜450万円
・補助率:通常のA・B類型1/2➡2/3(C類型)
・補助対象経費:ソフトウェア購入費用と導入に関連するオプション・役務の費用
➡上記に加えて、ハードウェアのレンタル費用と関連するオプション・役務の費用も対象経費に追加(C類型)
・遡及請求:一刻も早いテレワーク環境の整備や非対面型ビジネスモデルへの転換等の必要性の理由から、公募開始前の遡及申請可能期間(2020年4月7日(火)~5月10日(日))中のITツール導入等についての費用も遡って補助金の対象経費となります。(審査など、一定の条件があり)。
■公募期間と今後のスケジュール
【特別枠(C類型)】
〇1次締切分
・締切日:2020年5月11日(月)受付開始~2020年5月29日(金)17:00 まで
・交付決定日:2020年6月中<予定>
・事業実施期間:交付決定日以降~2020年12月末<予定>
・事業実績報告期間:交付決定日以降~2020年12月末<予定>
〇2次締切分以降の詳細のスケジュールについては、2020年12月下旬まで、複数回に分けて公募される予定。
【通常枠(A、B類型)】
〇一次公募(臨時対応)
・交付申請期間:2020年3月13日(金)~2020年3月31日(火)17:00 まで
・交付決定日:2020年4月30日(木)
・事業実施期間:交付決定日以降~2020年9月30日(水)まで(予定)
・事業実績報告期間:交付決定日以降~2020年9月30日(水)まで(予定)
〇2次締切分
・締切日:2020年5月11日(月)受付開始~2020年5月29日(金)17:00まで
・交付決定日:2020年6月中<予定>
・事業実施期間:交付決定日以降~2020年12月末<予定>
・事業実績報告期間:交付決定日以降~2020年12月末<予定>
〇3次締切分
・締切日:2020年9月末締切<予定>
・交付決定日:2020年10月末<予定>
・事業実施期間:交付決定日以降~2021年4月末<予定>
・事業実績報告期間:交付決定日以降~2021年4月末<予定>
〇4次締切分
・締切日:2020年12月末締切<予定>
・交付決定日:2021年1月末<予定>
・事業実施期間:交付決定日以降~2021年7月末<予定>
・事業実績報告期間:交付決定日以降~2021年7月末<予定>
■電子申請:必須
まとめ
以前までのブログでは、現状を乗り切るための資金繰り(融資)や雇用の維持が中心の内容でしたが、アフター(ポスト)コロナに向けた仕組み作りのための投資を戦略的に考えていくことも必要だと考えます。
そのために、今回ご紹介した補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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