骨院・鍼灸院・マッサージ院などの治療院では、「ホームページは情報提供だから広告規制は関係ない」と考えてしまいがちですが、実際には表現内容によって広告ガイドラインの対象となるケースがあります。
令和7年2月に整理・公表された「あはき・柔整広告ガイドライン」では、利用者保護の観点から、広告の考え方や注意点がより明確に示されました。
本記事では、ガイドラインの背景や基本ルール、広告と判断される基準、ホームページやSEO記事で特に注意すべき表現、集客と広告規制を両立する考え方までを、治療院経営者向けに実務目線で分かりやすく解説します。
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目次
1. あはき・柔整広告ガイドラインとは何か?
1-1. ガイドライン策定の背景
あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう、柔道整復の分野では、従来から法律(あはき師法・柔整師法)により広告できる内容が厳しく限定されてきました。
一方で近年、以下のような問題が指摘されていました。
- 医療と誤認される広告表現の増加
- 効果を断定する誇大広告
- 無資格者による紛らわしい広告
- インターネット広告・SNSの急増
これらを受け、利用者が正しい情報に基づいて施術所を選択できるようにすることを目的として、検討会を重ねたうえで広告ガイドラインが整理されました。
1-2. ガイドラインの位置づけ
重要なポイントは次のとおりです。
- 広告ガイドラインは新たに広告を自由化するものではない
- あはき師法・柔整師法の「原則禁止・例外的に許可」構造は維持
- そのうえで運用上の考え方・具体例を明確化したもの
つまり、「何でも書いてよい」ではなく、何がOKで、何がNGかを具体的に示した指針です。
2. 広告規制の対象になるかどうかの判断基準
2-1. 「広告」と判断される3つの要件
あはき・柔整広告ガイドラインでは、次の3つすべてを満たす場合に「広告」と判断されると示されています。
- 誘引性
利用者を施術所に誘導する意図がある - 特定性
施術者名や施術所名が特定できる - 認知性
一般の人が認識できる状態にある
これらを形式的に回避していても、実質的に満たしていれば広告と判断される点が重要です。
2-2. 「これは広告ではありません」は通用しない
ガイドラインでは、次のような例も明示されています。
- 「これは広告ではありません」と記載している
- 「取材記事」「体験談」と装っている
- ランキング・口コミ風サイトだが掲載料を払っている
これらも、実質的に誘引していれば広告と判断されます。
ホームページやブログ記事でも「広告ではない体裁」=「安全」ではありません。
ヘルスケア業界におけるホームページが「広告」と判断される仕組みや、業界特有の注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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3. あはき・柔整で広告できる事項の基本ルール
3-1. 広告できるのは「限定列挙された事項のみ」
あはき師法・柔整師法では、広告できる内容が法律と告示で明確に限定されています。
代表的なものは以下です。
- 施術者である旨、氏名、住所
- 施術所の名称・電話番号・所在地
- 施術日・施術時間
- 法令に基づき届け出ている旨
- 医療保険療養費支給申請ができる旨(条件付き)
- 予約に基づく施術
- 休日・夜間施術
- 出張施術
- 駐車場の有無
これ以外は原則広告不可、という点が基本です。
3-2. 技能・施術方法・経歴は一切広告できない
特に注意が必要なのが次の点です。
- 施術者の技能の高さ
- 独自の施術方法
- 経歴・修行歴・研修歴
これらは事実であっても広告不可と明確にされています。
NG例
- 「慢性症状の根本改善」
- 「○○流施術」
- 「有名人のトレーナー」
- 「〇〇で修行」
ホームページのプロフィール欄で無意識に違反しているケースが非常に多い部分です。
4. ホームページと広告ガイドラインの関係
4-1. ホームページは原則「広告ではない」が…
ガイドラインでは、施術所の公式ホームページは原則として広告規制の対象外(情報提供)と整理されています。
ただし、以下の場合は広告として扱われます。
- リスティング広告(検索連動型広告)
- 費用を払って検索結果上位に表示させている場合
- SNS広告、バナー広告
つまり、通常のホームページ運用はOKだが、広告的な使い方をすると規制対象になるという整理です。
4-2. ホームページでも「掲載すべきでない内容」がある
広告でなくても、ホームページに掲載すべきでない内容が明確に示されています。
掲載すべきでない例
- 「絶対に治る」「100%安全」
- 加工されたビフォーアフター写真
- 他院との比較・No.1表現
- 不安を過度に煽る表現
- 科学的根拠の乏しい効果説明
SEO目的の記事・症状ページで特に注意が必要です。
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5. 施術所名・屋号で特に注意すべきポイント
5-1. 施術所名は「利用者が誤認しない」ことが最重要
広告ガイドラインでは、施術所の名称は利用者が施術内容や資格を正しく認識できることが強く求められています。
そのため、名称についても広告可能・不可能の具体例が示されています。
5-2. 広告可能な施術所名の例
以下は、ガイドライン上「広告可能」とされる名称例です。
- 「○○施術所(院)」
- 「○○鍼灸治療院」
- 「○○接骨院・鍼灸院」
- 国家資格保有であることが分かる補足表記
ポイントは、以下の点です。
- 医療機関と誤認させない
- 施術業態が分かる
- 誇張・効能を含まない
5-3. 広告不可能な施術所名の例
一方、次のような名称は広告不可とされています。
- 「クリニック」「メディカル」「リハビリ」など
→ 医療機関と誤認される名称 - 「交通事故専門」「女性専門」「アスリート専門」
→ 対象者を限定する名称 - 「不妊鍼灸」「小顔矯正」「姿勢改善」
→ 効能・施術内容を含む名称 - 「巧み」「匠」「ゴッドハンド」
→ 技能の優良性を示す表現
屋号・ロゴ・ドメイン名・キャッチコピーまで含めて見直しが必要なケースは非常に多いです。
6. 医療保険・交通事故・各種保険表記の落とし穴
6-1. 「各種保険取扱い」は原則NG
治療院ホームページでよく見かける「各種保険取扱い」「交通事故対応」などの表現は、原則として広告不可です。
広告可能なのは、「医療保険療養費支給申請ができる旨」のみであり、さらに厳密な条件があります。
6-2. 医療保険療養費支給申請の正しい表現
広告が認められるのは、次の条件を満たす場合のみです。
- あはき:医師の同意が必要である旨を明示
- 柔整(骨折・脱臼):医師の同意が必要である旨を明示
また、「一部負担で施術を受けられる」「後から保険者に請求できる」といった利用者の理解を助ける言い換えは可能とされています。
NG例
- 「各種保険取扱い」
- 「労災保険対応」
- 「自賠責OK」
SEO記事やLPで安易に使われがちな表現なので要注意です。
7. 無資格者広告との線引きと治療院の責任
7-1. 無資格者行為に関する広告も明確に規制
ガイドラインでは、無資格者の行為に関する広告の問題点も明確に整理されています。
特に問題視されているのは、以下となります。
- 「マッサージ」という言葉の安易な使用
- 痛み・症状に対する効果表現
- 国家資格が必要な行為と誤認させる表現
7-2. 症状名・疾病名の扱いに注意
無資格者広告だけでなく、治療院のホームページでも、
- 「腰痛が治る」
- 「膝の痛みを改善」
- 「慢性肩こり専門」
といった表現は、疾病への効果を示す広告と判断されるリスクがあります。
SEO対策で「症状ページ」を作成する際は、情報提供と広告表現の線引きが極めて重要です。
8. SEO・集客と広告ガイドラインは両立できるのか?
8-1. 「広告できない=集客できない」ではない
広告ガイドラインは集客を妨げるためのものではありません。
ガイドラインでも、以下をを重視しています。
- 利用者が適切に選択できる情報提供
- 正確で客観的な情報
- 誤認を招かない表現
これは、本来のSEO(検索ユーザーの疑問解消)と非常に相性が良い考え方です。
ヘルスケア業界において広告規制だけでなく、なぜ集客につながらないのかという視点については、こちらの記事も参考になります。
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8-2. ガイドラインに沿ったSEOの考え方
具体的には、
- 効果断定ではなく「一般的な情報」として説明
- 施術内容・流れ・注意点を丁寧に記載
- リスクや適応範囲も正直に記載
- 比較・優良性を示さない
といった構成であれば、ガイドラインに配慮しつつ検索流入を狙うことは十分可能です。
問題は「知らずに逸脱しているケース」です。
9. 治療院ホームページで必ずチェックすべきポイント
最後に、あはき・柔整広告ガイドラインの観点から治療院ホームページで確認すべきポイントを整理します。
チェックリスト(抜粋)
▢ 施術所名・屋号にNG表現が含まれていないか
▢ プロフィールに経歴・技能・師事歴を書いていないか
▢ 症状改善・効果保証の表現がないか
▢ 保険・交通事故表記が適切か
▢ ビフォーアフター画像を掲載していないか
▢ 比較・No.1・口コミランキング表現がないか
▢ SEO記事が広告表現になっていないか
1つでも不安があれば、専門的な視点でのチェックが必要です。
チェック後に制作や修正を検討する場合は、こちらの記事も事前に確認しておきましょう。
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まとめ|「作る前」より「見直し」が重要な時代へ
あはき・柔整広告ガイドラインは、単なる規制ではなく、「利用者保護」「業界全体の信頼性向上」「適切な情報提供」を目的とした指針です。
特に現在は、制作会社任せで作成したホームページや、何年も前に作られたサイト、SEO目的で記事を追加してきたサイトほど、知らないうちにガイドラインを逸脱しているケースが増えています。
ホームページやSEO記事では、屋号やプロフィール表現、症状・効果の書き方、保険表記などが広告違反と判断されることも少なくありません。
集客とガイドライン対応は決して相反するものではなく、重要なのは「知らずに逸脱しない」ことです。
作り直しを検討する前に、まずは現状のホームページが適切かどうかを客観的に確認し、改善の方向性を整理することが重要です。
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